SPECIAL スペシャル

スペシャル先行上映会レポートのお届けです!

3月25日、ユナイテッド・シネマ豊洲にてTVアニメ「私の百合はお仕事です!」先行上映会が開催された。TVアニメの放送を待つファンで埋め尽くされた会場の舞台には、白鷺陽芽役の小倉 唯、綾小路美月役の上坂すみれ、雨宮果乃子役の田中美海、橘 純加役の小市眞琴が登壇。キャラクターの魅力や収録時のエピソードで大いに盛り上がった。

 

メインキャスト4人による「ごきげんよう」の挨拶で始まったトークショーでは、それぞれがリーベ女学園の制服に身を包んで登場。田中美海と小市眞琴は今回が初めての制服姿のお披露目となった。小市眞琴が「メガネを忘れてしまって」と橘 純加に寄せようとした旨を伝えると、上坂すみれが「メガネを持ってきてくださることがあるんですか。あぶない、命が保った」と大興奮。小倉 唯が田中美海の髪型と着こなしに触れて「果乃子の再現率が凄い」と目を輝かせる場面もあった。

 

気になるトークセッションは、各キャストの演じるキャラクターの紹介からスタートした。

 

天真爛漫な陽芽、不器用な美月、愛情深い果乃子、ギャップが魅力の純加……それぞれの魅力を語る

 

小倉:

私の演じる白鷺陽芽はとにかくかわいいんですよ。表情が豊かで、天真爛漫さが魅力。ただ見た目の可愛さとは裏腹に策略家といいますか、器用に「演技(ソトヅラ)」を使い分けているんです。それで、いつか玉の輿に乗るのを夢見ている。わりと女の子らしい女の子なのかなと思います。

自分ではちゃんと出来ている子だと思っているんですが、リーベ女学園に入ってからは、意外とそうじゃない天然なところや、ポンコツなところも垣間見えたりします。

 

上坂:

私が演じる綾小路美月さんは、リーベ女学園では本当にパーフェクトなお姉さまとして振る舞っているのですが、陽芽ちゃんがうっかり発したある一言からとんでもないことになっていく様子が、「わたゆり」の導入部で描かれております。

なぜか陽芽にだけキツく当たる一面が先行PVでも描かれているのですが、序盤の美月さんは「本当に何を考えているの?」ってなる部分も多いです。

性格的には陽芽ちゃんと真逆というか不器用で、「演技(ソトヅラ)」をうまく作れないまま育ってきた人なのですが、その不器用さが愛おしく感じられるシーンが増えてくるので、見守ってくれたら嬉しいです。

 

田中:

雨宮果乃子ちゃんは普段はメガネをかけていて、陽芽ちゃんとはクラスメートです。果乃子は陽芽ちゃんのことをとても可愛いと思っていて、すごく好きなんですね。

 

いろいろあってリーベ女学園にやってくるのですが、そこではメガネを取ったり髪をまとめたりして、すごく可愛らしい感じになっております。

性格的にはすごく人見知りな部分もあって、陽芽ちゃん以外とは喋れない感じもあるんですけど、ときには大胆な行動にでてしまうこともあって、そのギャップがすごく魅力的です。

陽芽ちゃんへの愛がとても重いし、そこが重要だと思ってます。

 

小市:

純加さんはリーベの中と外でギャップがあると思っていて、リーベの中だと知的でおしとやかな3年生の先輩なんですけど、実際は思いっきりギャルで、「イエー!」って感じの女の子です。

でも「ギャルでーす」だけではなく、しっかりと周りも見ています。仲間思いの一面もすごくあるし、お仕事に対して真摯に取り組んでいる子だなと思います。

それに、ちょっと突っ込み過ぎちゃうところがあって、そこが果乃子ちゃんに圧を与えてしまうというか、苦手に思わせちゃうところがあるのかな。なので、この二人の関係が作品の中でどう変化していくのかを楽しんでいただければなと思います。

 

陽芽のテンションで牽引した序盤のストーリー。小倉「プレッシャーを感じました」

 

ひとしきりキャラクターの魅力が語られると、次は演じる上での苦労したエピソードへ。アフレコが昨年終了していることにも触れ、当時の様子を思い出す場面も。

 

小倉:

陽芽は序盤ずっと喋っているし、陽芽のテンションで話が進んでいると言っても過言ではないので、作品全体の流れを作らなきゃいけないという点で、最初は結構プレッシャーを感じていました。

でも、そんなプレッシャーを感じる余裕もないぐらいずっと喋っていたので、すごく楽しくお芝居できました。陽芽は「演技(ソトヅラ)」と本音の差がある子なので、流れを変えないまま切り替えて収録していくのがなかなか難しい作業でした。

テンポも早くて言葉数も多くて、本当に目まぐるしかったですね。

 

上坂:

唯ちゃんが言った通り、陽芽が一番喋っていると思うんですけど、どのキャラクターもかなりセリフ量が多くて、会話劇が楽しめる作品になっていて、本音というか、本当の性格とサロンでの性格がすごくはっきり分かれているところが見どころです。

美月さんも陽芽に対してこそっと圧をかける表情と、サロンでのきらびやかな表情がはっきり分けて描かれています。

美月は悪い人ではないので、単に切り替えが不器用な人だというのをひと目見てわかるように心がけながら演じるのが難しくもあり、楽しかったですね。

 

田中:

果乃子は対陽芽ちゃんと陽芽ちゃん以外のカテゴリーがばっさり分けられているのが演じていて印象的だと思っています。陽芽ちゃんとの会話は心を許しているし、同級生同士で親友同士の会話が描かれています。

純加さんはじめ、そこまで親しくない目上の存在の舞さんに対しては彼女の人見知りが発動するので、もう「ハイ」しか言えなくなってきます。

果乃子のこの差をしっかり演じ分けるのが難しかったですね。

 

小市:

私はこの見た目で結構ギャルといいますか、素で喋るシーンがありまして、純加はいま素で言っているのか、それともリーベの純加として話しているのかを考えながら演じないと、見た目に引っ張られてちょっとキザっぽくなってしまいそうなときもあるんです。

「ここはいまリーベの中じゃないから、もう少しギャル味を足してみよう」みたいなバランスを意識するのと、ギャルになりすぎないようにすることが大変でした。ギャルになりすぎると純加とはちょっと違うかなと思いますし、さじ加減が大変でした。

 

「上坂さんのサラサラのストレートを見たときに、『あ!美月さんだ』」(田中)

 

演じる上で難しかったポイントについては、実際にアニメを視聴して確認していただきたい。続いて、作品のなかで注目してほしいキャラクターは誰か?という話題へ。

 

小倉:

1話・2話は舞さんとの出会いがすべての始まりなので、舞さんの勧誘術に注目してもらえると面白いかなと思います。動いてるんですよ、(ケガしたはずの)手が。

 

上坂:

注目ポイントばかりなので、迷うんですよね。でも陽芽ちゃんの表情の変化は序盤の見どころだと思います。いろんな唯ちゃんが楽しめるので。唯ちゃんが陽芽ちゃんに見える、本当にシンクロ率の高いキャラクターになっています。

アニメを描いている方の中にも陽芽ちゃんのファンが何人もいるんじゃないかってぐらい陽芽ちゃんの百面相が活き活きと描かれていて、しかもよく動くんですよね。可愛く、かつ、面白く描かれています。「ケッ!」てなっている陽芽ちゃんとか、「そこをなんとかー」ってニコニコしている陽芽ちゃんとか。

すいません、なんか果乃子の気持ちがわかるぐらい陽芽ちゃんの可愛さが濃縮されている1話・2話を(上映会にご来場いただいている方はこれから)鑑賞していただくと思うので、その後の4月まで陽芽ちゃんのいない生活を皆さんは苦しんで過ごしてもらおうかな(笑)。

 

田中:

私も迷うんですが、美月さんを推したいと思います。

 

美月さんは登場シーンがすごく「THE・リーベ女学園のお姉さま」って感じなんですけど、そんなお姉さまの裏の姿と言いますか、陽芽ちゃんだけに見せている本音には一体どういう意味が込められていて、それが今後どうなっていくのかは注目ポイントです。

個人的に、唯ちゃんと陽芽ちゃんの親和性も高いんですが、上坂さんと美月さんも同じで、上坂さんのサラサラのストレートを後ろから見たときに、「あ!美月さんが目の前にいらっしゃる!」ってなって(笑)。それぞれのキャラクターと皆さんの身長がリンクしてるのもありますし。

 

小市:

めちゃめちゃ悩むんですけど、果乃子の姿をとりあえず見てもらいたいです。見たときに、愛の重さが映像と演技によって「怖さ」としてにじみ出ているので、今後の動向が楽しみなキャラクターではありますね。絵がついたらこんなに破壊力があるんだって驚いたので。楽しみにしていただけたらいいなと思ってます。

 

ほか、美月と親和性が高いと言われた上坂が「すぐキレたりする?」と冗談交じりでコメントし、キャラとキャストの身長がリンクしているというくだりで小倉が陽芽のパネルを見ながら「私低いな……。こんな感じなのか」としみじみとつぶやき、会場の笑いを誘った。

そして、今回のイベントで初めてシュヴェスター(姉妹)のペアを演じるキャストが揃ったことに触れ「相手にギャップを感じたシーンやエピソード」に話題が移った。

 

「美月と陽芽の関係性の変化に注目してほしい」(上坂)

 

小倉:

まだ言えないこともたくさんあるんですけど、美月って特に前半だと結構キツく聞こえがちといいますか、「この人、何でこんなに怒ってるの?」って見えると思います。ですが、この先展開が進んでいくと、そこに愛らしさがありまして、単純にキレてるだけじゃない、その含みがかわいいんです。

そこを理解すると、途端に美月が愛おしく見えてきます。陽芽もあるきっかけから、わかるようになっていくんですよ。最初はぎこちないけども、徐々にお互いを掴んでいく流れがすごく印象的でしたね。

 

上坂:

陽芽ちゃんはリーベの中でひときわ天真爛漫でいてくれて、周りが影響されて変わっていくので、安易にブレない存在というか。話数が進んでいくと陽芽ちゃんの意外な過去とか、こんなこと考えていたんだ、その場その場を生きてるだけじゃなかったんだなというのは解ってきます。

陽芽ちゃんが軸になり、いつも「演技(ソトヅラ)」を別け隔てなく振りまいてくれる。美月に対しても、「なに、あの怖いお姉さん」って言いながらも諦めずに立ち向かっていくのがその後、本当に良い関係性になっていきます。

美月はかなりギャップのある性格ではあると思うんですけど、陽芽ちゃんは1話からある意味で変わらず居てくれるのが嬉しいなって思います。

 

一方で小市と田中は、演じるときに心がけていたことなどを語ってくれた。

 

小市:

純加は皆に別け隔てなくグイグイいくタイプなので、果乃子ちゃんにもそうしてるんですけど……。後半、グッと果乃子への接し方も変わってきます。果乃子の考えを純加がどんどん理解していくうちに変わってくるというか、……言えないことが多すぎて難しいですね。

 

田中:

果乃子的には、陽芽ちゃんか陽芽ちゃん以外かって感じで生きてるんで。そこに純加さんが入ってくるんですよね。果乃子の視界の中に、強制的に現れてきちゃう存在。

私は純加さんに「そんなに怯えないでください」と言われたのが印象に残っていて、怖がりすぎちゃったなと思って。果乃子は果乃子でこの人とどう接したらいいんだろうって考えながら、ちゃんとお話ししていくので、そこは気をつけようと思いました。

ただ、田中美海的には純加さんは大好き。キャラ、最高です。ああいうキャラが職場などに一人いてくれるとすごく和やかになるな、いいなって思います。

あとは、キラキラとリーベ感が出てるシーンは気合いを入れて、果乃子なりの頑張りを見せようと思って意識的にやっていました。

 

「キャラクターが本音を言っているのか、「演技(ソトヅラ)」なのかを考察しながら見ていただければ」(小市)

 

コンセプトカフェであるリーベ女学園での演技は、日常シーンの演技と違うものが求められる。たとえば、大きな声で「壁ドン」をするなど、変わった演技をしたエピソードも語られた。また今回の先行上映会で初公開になったOP映像に絡めて、OP『秘密♡Melody』の作詞を担当した小倉が曲に込めた思い入れを語った。

 

小倉:

OPのタイアップのお話があったのは陽芽を演じ始めた途中だったんです。「そんな嬉しいことがあるの? ぜひ書かせていただきたいです!」とお受けしました。

やっぱりOPなので作品を象徴する歌になるのかなと思って、色々と情景が思い浮かぶような歌詞だったり、キャラクターたちがそれぞれ抱えている葛藤や悩みのような、ある種の秘密、心の鼓動、気持ちの機微をメロディで表現してみようとしました。

原作への気持ちを表現するために愛を持って歌詞を書いたので、絵とも照らし合わせながら聞いていただけたら嬉しいです。

 

そして、ED映像も初公開。上坂が「収録で意識したこと」などを語った。

 

上坂:

EDはキャラクターソングになっているんですけれども、歌割りが最初から完成していたといいますか。複数人収録する歌でもまず全部録ってから歌割りを決めるパターンもあるんですが、そうではなく、完全にここは陽芽の気持ち、ここは美月の気持ちというのが歌詞ではっきり表れていたので、掛け合いをするように、お互いにバトンを渡すような感じで歌えました。

レコーディングは別々に行ったんですが、隣に居る陽芽を想う美月さんの気持ちになりながらレコーディングさせていただきました。こちらも儚くて美しい歌なので、ぜひ早くフルで聞いていただけたらと思います。

 

OP・EDのフルバージョンへの期待を膨らませつつ、次のテーマへ。キャストが思う「わたゆりを通して視聴者に伝えたいもの」とは…?

 

小倉:

いろんなキャラクターが出てくる中で、「みんなの本音」がひとつのポイントでしょうか。このキャラが抱えている本当の心は何なんだろうと意識してみると、感じ方が変わってくると思います。

毎回、違うキャラクターからの視点で見てみるのもいいと思いますね。

 

上坂:

百合って素晴らしいものなんだって、シンプルに伝わる作品だと思いました。

私自身は百合初心者なんですけども、百合の達人がこの中にいると思います。そんな「百合ソムリエ」からみても頷ける作品になっていて、お仕事モノとしても青春モノとしても色んな楽しみ方ができて、どのキャラに感情移入するかで感じ方が変わってくる点もこの作品の魅力だと思います。

 

田中:

アフレコの時からテンポ感を大事にしている現場で、メリハリをすごくつけている。キャラクター同士の関係性が最初からめちゃくちゃ拗れていくっていうか、「どうしてそうなるんだろ!」ってところも含めて、皆さんに注目してほしいですね。

 

小市:

必ずしもリーベにいるときが「演技(ソトヅラ)」ってわけじゃなく、意外とお芝居をしているからこそいえる本音があったりだとか、本当の自分だからこそ、それを隠してしまったりとか。リーベに居るときでもこれは本当の気持ちなのか、「演技(ソトヅラ)」なのかといった複雑な乙女心みたいなものを持ちながらお芝居をしています。

今この子は嘘をついているのか、それとも本気で言ってるのか。そういうのを考察しながら、どんどん変わっていくそれぞれの関係性を楽しんでいただけたら嬉しいです。私は百合オタクなんですけど、そこが楽しいです。

 

最後に、何通りもある「わたゆり」の楽しみ方を提案

 

各キャストから番組の見どころをたっぷり聞けて、会場のファンの満足度も頂点に達したところで、イベントはいつしか終了時間に。最後に、登壇者から「わたゆり」視聴者に向けてのメッセージが送られた。

 

小市:

私自身も結構前に収録を終えていたということもあり、皆さんと一緒に楽しめたらなと思っています。アニメで天国のように幸せな「わたゆり」の世界観を楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

田中:

「わたゆり」が遂にアニメ化して、皆さんに届けることができるのがすごく感慨深いです。収録も終わったので、イベントをする頃にはどうなってるんだろうねってアフレコ当時も話していました。

それでまさか、リーベ女学園の制服を着て登壇しているとは……!本当に信じられないんですけど、めちゃくちゃ嬉しいので今後もこういった機会があったらぜひ皆さんに足を運んでほしいなと思います。

 

上坂:

本日はご来場いただきありがとうございます。さっき写真撮影のときに唯ちゃんの近くに行ったとき、耳の上のちっちゃいリボンがあまりにも可愛くって、無意識に撫でようとしたんです。シュヴェスター心が働いたんですけど、グッと我慢しました。私、なんてエライんでしょう(笑)。

アフレコも本当に賑やかにやっておりまして、リーベのきらびやかなサロンの世界、そしてその裏に隠されたこれは何なのかという繊細な乙女の気持ちを皆さんもアニメで楽しんでいただければと思います。

 

小倉:

今日は念願の四人揃って、制服を身にまとって、アフレコ当時の話などをしましたし、放送もまもなくということで本当にワクワクが止まらないです。絵も素敵でお話も楽しいし、それぞれキャラクターの声もマッチしていてお芝居も本当にステキなんです。

私自身も陽芽と出会えて、演じること、声優としての芝居の楽しさを再確認できました。今回はOPやEDも歌っているので、色んな要素から「わたゆり」の世界観を楽しんでください。キャラクターに寄り添うのもいいですし、楽しみ方は沢山あります。その魅力を、沢山の方に広めていただきたいですし、SNSなどで拡散してみんなで「わたゆり」愛を世界中に広げてくれたら嬉しいです。

 

イベントの終わりは全員で声を揃えての「ごきげんよう」で〆られ、会場にはファンからの万雷の拍手が鳴り響いた。